当院では重要ウイルスや細菌感染症の迅速診断に力を入れています。
咽頭や鼻腔の分泌液や便から15分以内に診断し、治療や病気の今後の経過の予測に役立てています。
以下の感染症は迅速診断が可能です。
1.RSウイルス感染症
2.咽頭結膜熱(アデノウイルス感染症)
3.溶連菌感染症
4.ロタウイルス感染症
5.インフルエンザ
(病名をクリックすると病気や検査の説明が見れます。)
Respiratory syncytial virus(RSV)の感染により発症し、冬に流行します。何度も感染し2回目以降の年長児では発熱や咳、鼻水など比較的軽くすみます。しかし1歳半頃までの初感染では症状がひどく、細気管支炎になると呼気性喘鳴、多呼吸、陥没呼吸などが強くなり、ミルクが十分に飲めなくなったり、無呼吸発作をおこすようだと入院治療が必要です。
特に低出生体重児や、心臓に病気があるお子さんでは重症化しやすいです。
当院では鼻腔分泌液から迅速診断(約15分)を行い、早期に診断確定することで適切な対応をしています。(ただし、この検査は外来患者には保険適応がまだなく、善意で行っています。そのため他の開業医では検査ができないことも多いです。)
特効薬はありませんが、当院では喘息の治療薬(オノン)や自宅での吸入療法(気管支拡張剤や吸入ステロイド剤)等の治療によって入院治療の回避に成果をあげています。またRSVによる細気管支炎が、その後に反復性喘鳴(風邪を引くたびにゼーゼーいう)を繰り返したり、将来喘息の発症率が高くなるといわれています。
約50種類あるアデノウイルスの感染により発症します。(つまり何度もかかります。)夏に流行するプール熱(プールが感染経路になると考えられています。)はよく知られており、咽頭炎と結膜炎(目やにや眼球充血)を合併しますが、咽頭炎のみや結膜炎のみの症状だったり、胃腸炎や肺炎をおこすものなどさまざまな症状で一年中発生します。症状は4−5日続く高熱に、咽頭痛や、目やに、下痢などを伴いますが、比較的元気なことが多いです。咽頭ぬぐい液や眼脂から迅速検査(約15分、3割負担で1,060円)が可能です。血液検査では白血球が増えたり、CRPが高くなることが多いです。特効薬はなく抗生物質は効果がありません。症状が改善してから2日間は登校(園)停止ですし、しばらくはプールに入るのもやめましょう。
A群連鎖球菌の感染によって発症し、初冬から梅雨頃まで年中流行しやすいです。咽頭発赤と咽頭痛が強く、つばを飲み込むとのどが痛いです。発熱や発疹、イチゴのような舌がみられます。ひどくなると昔はしょうこう熱といわれる伝染病でした。のどを綿棒でこすった検体で迅速診断(約5分、3割負担で820円)が可能です。合併症としてリウマチ熱や腎炎を起こすことがあるため、熱が続くときや血尿が出るときは再診してください。当院では治癒後2回尿検査を行っています。
治療は抗生物質がよく効き2日以内に解熱します。ペニシリン系抗生物質の10−14日の投与が一般的ですが、服薬が長期で大変なため、当院ではセフェム系抗生物質の7日間投与を行っています。
冬に流行する風邪の親玉で、A型とB型があります。症状はいずれも、高熱や関節痛に咳や鼻水などの風邪症状を伴います。小児では脳炎という合併症が怖く、意識障害や痙攣などを伴い急激に状態が悪くなることがあり、注意が必要です。特にアセトアミノフェン(アンヒバ、アルピニー、カロナールなど)以外の解熱鎮痛剤をインフルエンザに使うと、脳炎の発症が増えると報告されています。当院ではインフルエンザの流行時期以外も、子どもにはアセトアミノフェン以外の解熱剤は処方していません。
鼻に入れた綿棒から迅速診断(約10−15分、3割負担で910円)が可能です。治療薬としては、タミフル、リレンザ、シンメトレル、漢方薬麻黄湯などがあります。それぞれの薬について説明します。
(1)タミフル
発熱期間を1−2日短くしますが、転落等の異常行動との関連が疑われており、10歳代と0歳児に対しては処方できません。当院では基礎疾患がなく全身状態のよい場合は、親御さんと相談の上処方するかどうか決めています。
(2)リレンザ
タミフルと同等の効果が期待できますが、吸入薬のため5−6歳以上でないと上手に吸入できません。
(3)シンメトレル
A型のみで有効ですが、近年耐性化が進んでおり、ほとんど処方しません。
(4)漢方薬 麻黄湯
初期のインフルエンザに効果があり、インフルエンザに対する適応も通っています。効果はまずまずですが、漢方独特の味があり、やや飲みにくいです。